2003年10月28日

◆今日の一品◆
R製 お子様ランチ
今日もロケットタウンから新アイテムが配布されました。これはお子様ランチですね。
チビッコにとって、デパートの楽しみと言えばなんと言ってもおもちゃ売り場と「お子様ランチ」。可愛いお皿の上に小さな旗が立った独特のスタイルはデパートの老舗「三越」が初めて世に出したものです。お子様ランチ(三越では「御子様洋食」と呼ばれています。)が三越に登場したのは1930年(昭和5年)、世界恐慌が尾を引く不況下の時代でした。スパゲティ、コロッケ、ハム、サンドウィッチ、ボンボン、それに富士山の形に成形したご飯という内容で、今も変わらずチビッコに人気の料理が皿に少しずつ盛られた楽しい一皿でした。富士山の型押しご飯はケチャップライスの頂上部に白いご飯が雪のようにかぶったもので、その上に小さな旗が立っていました。代々の料理長の中には、冬になると雪の積もった様子を表現するために白いご飯の量を多めにするなど、さりげなく凝った演出を施す人物もいたらしいです。旗は「日の丸」であったという説と丸の中に「越」の字を書いたという二つの説がありますが、最近では日の丸説が有力のようです。
価格は30銭、当時新聞購読料が1カ月1円という時代でしたから現在の価値観から言えば1,000円から1,200円ほどとなるでしょうか。現在、日本橋三越本店4階の「ランドマーク」で食べられる3種類のお子様向けメニューが800円ほどですから、今と比べても贅沢なものだったようです。
この「御子様洋食」を考案したのは日本橋三越本店の食堂部主任であった安藤太郎氏でした。彼のもとに、ある食器メーカーが新しい絵柄の入ったサンプルを持ち込んだことがきっかけとなりました。可愛らしいその皿を見た安藤氏が思いついたのは、子ども向けのメニューを作ることだったのです。
不景気で暗い世相の中、せめて子どもには明るい夢のあるものを、という彼の願いは日本一の富士山とその上に立つ旗という形で表現されました。
ところで小旗の意味ですが、一説には安藤氏が、たいへんな登山好きであったためとも言われています。また一方には、旗を立てるという行為自体が、当時は大きな喜びの表現だったのだと言われる方もあります。