2002年08月30日

◆今日の一品◆
H製 麦わら帽子
新アイテムの配布がなかったので、既存のアイテムからご紹介します。
麦わら帽子っていうと、映画「人間の証明」でジョー山中の歌う主題歌とともに流れる帽子が山中を飛んでいくシーンのスポットCMは印象深いものでした。けっこう昔になってしまいますが、昭和52年の作品です。
映画のキーワードにもなっている重要なフレーズ、「母さん、ぼくのあの帽子どこへ行ったんでしょうね?」は西条八十が「麦藁帽子」という作品の中に書いているもので、一部をご紹介すると・・・母さん、ぼくのあの帽子どうしたでせうね?
ええ、夏碓氷から霧積へいくみちで、渓谷へ落としたあの麦藁帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ。ぼくはあのときずいぶんくやしかった。
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
母さん、あのとき向こふから若い薬売りが来ましたっけね。紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとしてずいぶん骨折ってくれましたっけね。だけどたうたうだめだった。
なにしろ深い谷で、それに草が背丈ぐらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき旁で咲いていた車百合の花は、もう枯れちゃったでせうね、
そして、秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかもしれませんよ。
母さん、そしてきっといまごろは今晩あたりは、あの谷間に、
静かに霧が降りつもっているでせう。
昔、つやつや光ったあの伊太利麦の帽子と
その裏にぼくが書いたY・Sといふ頭文字を埋めるやうに、静かに寂しく

・・・となります。