2003年05月26日

◆今日の一品◆
H製 三面鏡
今日も再配布のアイテムだけでしたので、既存のアイテムからほのぼのタウンの「三面鏡」をご紹介します。近年、鏡台のある家庭は少なくなりましたが、昔は婚礼家具のひとつとして欠かせないものでした。特に女性にとって鏡台に向かうことは自分をより美しくみせるための大切な時間です。

鏡の起源は池などの水面に自分の姿形を映しだす、水の鏡と考えられています。その後銅鏡が中国より持ち込まれましたが、化粧をするためのものではなく、呪術用や祭祀〔さいし〕用具として使われていました。
平安時代頃から貴族たちの間で化粧(当時、髪型・服装などを整えることも含まれました)をする習慣が起こり、鏡を五本脚で支える丈の短い柱にかけたことが鏡台の始まりだといわれています。しかし、この頃も鏡は神聖視され、立って鏡を見ることは、良くないことだとされていました。
化粧道具を入れる手箱(結髪・理容・化粧道具入れとして使われた箱)と鏡かけを一緒にした今の形に近い鏡台は室町時代に出現しました。
江戸時代になって鏡の大量生産が可能になり、庶民の生活にまで普及しました。この頃までの鏡は銅と錫[すず]の合金製で、使ううちに曇ってきました。そのため当時は鏡磨き職人が存在しました。その後明治時代には、手入れが簡単で文明開化のシンボルといわれたガラス鏡製の鏡台が、女性の憧れとして急速に普及しました。
工業デザイナーの豊口克平らによって整理だんすに鏡をつけた新しい形の鏡台が登場し、昭和34年にドレッサーと名づけられました。その後、ドレッサーには椅子がつけられ、住居が洋風化するとともに、こちらの方が主流になりました。