◆今日の一品◆ |
新アイテムの配布がなかったので、既存のアイテムからご紹介します。 麦わら帽子っていうと、映画「人間の証明」でジョー山中の歌う主題歌とともに流れる帽子が山中を飛んでいくシーンのスポットCMは印象深いものでした。けっこう昔になってしまいますが、昭和52年の作品です。 映画のキーワードにもなっている重要なフレーズ、「母さん、ぼくのあの帽子どこへ行ったんでしょうね?」は西条八十が「麦藁帽子」という作品の中に書いているもので、一部をご紹介すると・・・母さん、ぼくのあの帽子どうしたでせうね? ええ、夏碓氷から霧積へいくみちで、渓谷へ落としたあの麦藁帽子ですよ。 母さん、あれは好きな帽子でしたよ。ぼくはあのときずいぶんくやしかった。 だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。 母さん、あのとき向こふから若い薬売りが来ましたっけね。紺の脚絆に手甲をした。 そして拾はうとしてずいぶん骨折ってくれましたっけね。だけどたうたうだめだった。 なにしろ深い谷で、それに草が背丈ぐらい伸びていたんですもの。 母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう? そのとき旁で咲いていた車百合の花は、もう枯れちゃったでせうね、 そして、秋には、灰色の霧があの丘をこめ、 あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかもしれませんよ。 母さん、そしてきっといまごろは今晩あたりは、あの谷間に、 静かに霧が降りつもっているでせう。 昔、つやつや光ったあの伊太利麦の帽子と その裏にぼくが書いたY・Sといふ頭文字を埋めるやうに、静かに寂しく ・・・となります。 |