2003年03月17日

◆今日の一品◆
D製 地球儀
今日の新アイテムはドルフィンタウンの地球儀です。こどもの頃、持っていたのですが、今はいったいどこになるのか不明です。
世界最古の地球儀は、ギリシア時代の紀元前160年ころクラテスによって作られたと伝えられています。けれど当時知られていた地域は、全世界の4分の1にも満たなかったため、残りの地域には3つの大陸を想像で描いてしまいました。その後アルキメデスやヒッパルコスも地球儀を愛用していたとされていますが、現存していません。アルキメデスが作ったものは、ガラス製の天球儀の中に地球儀を組み込んだ精巧なものだったといわれています。
地球球体説を否定した中世には、もちろん地球儀は作られていませんでしたが、イスラムでは地球儀も天球儀も作られていました。15世紀になってルネサンスがおとづれると、球体説が復活して地球儀も作られるようになりました。ドイツのニュルンベルクは地球儀製作の盛んな町でした。直径10センチに満たない携帯用から、直径が4メートルもあって、中に入ると天球儀になっている巨大なものまで作られていました。いずれも手間のかかるものですからたいへん高価で、実用品ではなく工芸品として扱われていました。購入者は王侯貴族クラスに限られていたため、彼らの気に入るように装飾がほどこされ、ますます高価になっていったのです。
現存する最古の地球儀は、1492年にニュルンベルクでマルチン・ベハイム(1459?~1507年)が製作したものです。直径50.7センチの金属製で、羊皮紙でできた12片の舟型世界図が貼られています。6色の絵の具を使って画家に描かせた、たいへん美しく緻密なものです。描かれている世界図は当時としては標準的なもので、コロンブスが使用していた地図と似かよっています。新大陸はまだなく、アジアが東方へ極端に引き伸ばされることによって、太平洋とアメリカ大陸のスペースを埋めています。アフリカの南端は周航可能に描かれています。カタロニア図と同じように、事物にちなんだたくさんのイラストが散りばめられていて、不明な地域には想像上の動物なども描かれていますが、聖書に由来するものはかなり少なくなっています。